令和が始まって早くも10月に突入しました。
変わらず私はICUで勤務しているわけですが、今年から入職した新人看護師のみんなも早くも看護師として働き始めて半年が経とうとしています。
おそらく、人生で今まで体験したこともないような辛いことや、しんどさ、業界の恐ろしさもたくさん経験されていると思います。
私の働くICUにも今年新卒新人が4名入職しました。
今の所、一人も欠勤もなく毎日職場に来て頑張ってくれています。
ただ、とんでもないストレスの毎日に押しつぶされそうになっているのは側から見てもすぐにわかります。
そんな新人看護師の1人から、数日前相談を受けました。
自身の成長を感じられない
その子にとって一番の悩みが「自分の成長を感じられない」というものでした。
7年ICUで働いている私からすれば
なんて感じていましたし、なんなら1日も体調不良で休むことなく、元気に出勤できていることだけでもよくやってるよ。
と言いたいぐらいでした。
その子曰く、
「5月ぐらいの自分との変化が感じられなくて、今までの自分の頑張りはなんだったんだろうと思っちゃいます。」
と。
5月と比べて今の自分が全く成長していないなんてことはあり得ないと、自分でも理解してるはずだと思います。
しかし、そう感じてさせてしまう理由は3つあります。
1.負荷が増えている
2.より難しい疾患の患者を受け持っている
3.求められているものがより高度になっている
負荷が増えている
入職したての頃は、比較的軽症の患者を先輩がみっちりついて教えてくれる中、日々の業務をこなしていくと思います。
しかし看護師として働く期間が長くなってくると、次第に受け持ち患者の数が増えたり、重症度が増してきます。
そして先輩の援助をあまり受けられなくなり、自身で考えて働くことが増えてきます。
最初の頃は業務をしっかりこなしながら、
「患者さんをより良くしていく為にはどうすればいいのか」
「患者さんの身体で何が起こっているのかをアセスメントしながら受け持つ」
ことが比較的できていたと思います。
しかし、日が経つにつれて、受け持ちが多くなり、重症度が増すことで、「業務を回すことで背一杯」になってしまって、アセスメントがおろそかになってしまいます。
そこを先輩に突かれてしまい自分は最初の頃と変わっていない、もしくは最初の頃より「患者さんのこと」を考えられなくなっていると感じていしまうのだと思います。
より難しい疾患の患者を受け持っている
成長していないと感じるのは、受け持ち患者の疾患がより難しいものになっているからかもしれません。
単純に、難しい疾患を受け持つようになっている為に「わからない」「難しい」と感じてしまって自分のやっていることに自信が持てなくなってしまいます。
疾患や病態に関しても突き詰めれば突き詰めるほど難しくなりますし、やってもやってもキリがないと感じてしまいます。
「どこまでの知識が日頃の業務に活かせるもので、どこからが臨床では実際あまり使わない知識なのか」
ここの線引きがわからないからこそ勉強も迷うと思います。
求められているものがより高度になっている
受け持つ患者の質が変わるだけでなく、看護師としての経験が増すごとに、さらに上司や先輩からはより高度なことを求められるようになります。
早く成長して欲しいと思う気持ちが、新人看護師の心や身体に負荷をかける原因になってしまってることがよく見受けられます。
常に全力100%で働き続けれる人なんていないのに、看護の現場では新人に常にそれを求めているように感じます。
先輩たちが自分たちのことを理解してないように感じる
私が後輩に言われたのが「先輩たちの発言は新人の気持ちを全く理解してないんです」と言うことでした。
例えば、後輩たちを気遣って言った
「同期は大切だよ??仕事終わりとか休みの日は同期と飲みに行ったりして発散した方がいいよ」
という言葉。
後輩思いのいい先輩の発言じゃないかと思ってしまいますが、後輩によれば
「新人の同期たちが、なんでも気を許せる仲だと思わないで欲しいし、同期といる時間が一番のストレス発散なわけじゃないし、同期にも合う合わないがあるからもっと同期と遊びなさいとかあまり言われたくない」
とのことでした。
心が病んだり、抱え込むことが多くなりセンシティブになっている新人の時期こそ、先輩たちも後輩にかける一言一言に注意する必要があるんだなと思いました。
余裕が出てくると、余裕があるならとさらに課題や業務拡大させられるのが怖い
連日重症患者を受け持ったり多床持ちを経験していると、次第に慣れて仕事の効率も良くなり新人看護師にも少し余裕ができることがあると思います。
「余裕が出てくると、先輩看護師たちは早く成長してもらいたい一心で、間髪入れずにさらに負荷をかけてくる。そう思って、実は余裕が少しあるときでも、いつも余裕がないふりをしてしまいます。」
と言われた時は笑いました。
最後に
後輩と2人でじっくりと話をして、後輩のことを気遣って普段仕事をしているつもりでしたが、まだまだ後輩たちの気持ちを理解しておらず辛い思いもさせてしまっていたんだなと思いました。
7年ICUで看護師をしていても、「今日はめちゃくちゃく充実して働けた日」と「なんだか失敗ばかりでわからないことも多かったし、不完全燃焼の日」があります。
これは新人看護師にも似たような部分があると思うので、周りでみている先輩がポジティブフィードバックをしたり、状況に応じた対応をする必要がありますね。