今回は臨床で行なっている全身清拭、陰部洗浄、寝衣交換の技術と知識についてお伝えします。
なぜ、全身清拭、陰部洗浄、寝衣交換を一緒にまとめているかと言うと、それぞれ単体で行うことよりもまとめて行うことの方が多いからです。
寝衣交換
どのような患者に行うのか
看護師が寝衣交換をする患者の特徴として
✔︎意識レベルの低下、せん妄、バイタルサインが不安定、臥床安静の必要性がある等の理由で、自分で着替えることができない
✔︎点滴や医療機器が接続されている
✔︎患者自身で着替えるとライン類の抜去に繋がる可能性がある
などの場合に看護師が介助し寝衣交換をします。
寝衣交換を単体でする場合は、排泄物で寝衣が汚れてしまった場合も多いです。
目的
寝衣を清潔に保ち、爽快感を得るためです。
準備物品
✔︎新しい寝衣
✔︎必要時バスタオル(保温やプライバシーの保護に使用)
手順
1.室温を調整(できる場合)し、カーテンを閉める等のプライバシーの保護を行う。
2.患者の健側側に立ち反対側の袖を脱がせる。新しい寝衣の袖に腕を通し、半分着せる。
袖を脱がす時は、服を肩が露出するぐらいまで下げてからするとスムーズになります。
また点滴がつながっている場合は、できるだけ点滴のラインは外さずに袖を通して寝衣の着脱をするようにしましょう。
✔︎基本は健側から脱がせて、患側から着せる
✔︎両側麻痺や、両側に点滴や麻痺がある場合は患者の負担の大きい方から脱がし、少ない方から着せるとベスト
✔︎点滴類はできるだけ袖の中を通して衣類の着脱を行う。その場合、点滴のクレンメは一度閉じること
3.患者を手前に向けて側臥位にする。ベッドから転落しないように、ベッド柵をあげるか自分の体でしっかり支える。
患者を側臥位にする場合、重症呼吸器疾患や、肺合併症がある人だと患側肺が下になる方の側臥位にするとバイタルサインに影響することがあるので、できるだけ健側の肺の方から側臥位にするようにしましょう。
✔︎側臥位にする時、呼吸器疾患や肺合併症がある人は、健側の肺の方から側臥位にする
4.汚れた寝衣を腕の下に押し入れるとともに、新しい寝衣の背中心を患者の背中の中心に合わせる。
5.患者を仰臥位から反対側の側臥位へ向かせる。
6.側臥位になれたら、汚れた寝衣を脱がせ、新しい寝衣の袖に腕を通しシワを伸ばす。
新しい寝衣に袖を通す場合、肘をできるだけ肩と並行するぐらいまで上に上げてもらうとスムーズに袖が通ります。
✔︎袖を通す際は患者の肘を肩まで上げるイメージで持ち上げてもらう
7.必要時、反対側に回り、再度シワを伸ばす。
8.掛物を元どおりに掛け、汚れた寝衣を規定通りに片付ける。
9.点滴等ライン類や周辺環境の安全確認を行う。
全身清拭
どのような患者に行うのか
✔︎臥床に伴い、患者自身で清潔ケアが行えない
✔︎点滴や医療機器が接続されており、シャワー等を浴びることができない
目的
1.皮膚の清潔を保つ
2.血液循環を刺激し新陳代謝を促進させる
3.(補足的に)全身の皮膚状態の観察
準備物品
✔︎洗面器、ベースン
✔︎石鹸
✔︎綿毛布(保温用)
✔︎バスタオル
✔︎タオル3枚
✔︎スポンジ(必要時)
✔︎新しい寝衣
✔︎新しい下着
お湯の温度は看護師が手をつけられる最大限の熱さで患者さんには丁度いいぐらいになる(50度前後)
手順
1.患者に説明する。
2.実施前準備として、室温調整、ベッドの高さ調整、プライバシーの保護に努める。
3.患者の寝衣を脱がせ、上半身を露出する。
4.湯を絞ったタオルで患者の体を蒸す。
5.石鹸で拭く。
6.すすいだタオルで2回石鹸を拭き取る。
7.水分をバスタオルで拭き取る。
8.患者の体位を整える。
9.掛物をかける。
✔︎四肢を拭く際は、末梢から中心にかけて拭く
✔︎背部は背側から臀部にかけて拭く
✔︎石鹸をつけてから拭き取るまでが特に患者の体温が下がりやすいため、迅速に行うまたはしっかり保温する
陰部洗浄
どのような患者に行うのか
膀胱留置カテーテル挿入中の患者や安静臥床のため排便のケアができない患者に行います。
目的
外陰部を清潔にし、患者の気分を爽やかにする。また二次感染の機会を防ぐ。
また陰部は空気の通りが悪く蒸れやすいため、真菌(カビ)が発生したり、皮膚トラブルを起こしやすいため、念入りに観察もする。
✔︎膀胱留置カテーテル挿入患者は最低1日1回は陰部洗浄を行う
✔︎陰部周辺に真菌(カビ)や皮膚トラブルがないか観察しよう
準備物品
✔︎便器または紙おむつ
✔︎陰部洗浄用ボトルまたは50mlシリンジ
✔︎石鹸
✔︎バスタオル
✔︎陰部様タオル
✔︎ガーゼ
✔︎防水シーツ(必要時)
手順
1.環境を整える。等にプライバシーに配慮する。
2.陰部洗浄用ボトルに38度程度のお湯を用意する。
3.バスタオルを患者の体にかけ、寝衣・下着を取る。
4.患者の膝を立て、便器またはオムツを腰の下まで挿入する。
5.ガーゼを湿らせ、石鹸をつける。
6.陰部様タオルをお湯で絞り、患者の恥骨上に半円を描くようにタオルを置く。
7.陰部を洗浄する。
1)男性の場合:陰嚢・ペニスのひだを丁寧に伸ばし洗う
2)女性の婆愛:大陰唇を開き、陰核から肛門に向かって洗う
陰部を拭く際は、肛門から陰部にかけて拭かず、陰部から肛門にかけて拭くこと。
8.陰部洗浄様ボトルのお湯で石鹸分を洗い流す。
9.陰部様タオルで水分を拭き取る。
10.患者に腰を上げてもらい(出来ない場合は側臥位にし)便器またはオムツを外し、臀部の水分を拭き取る。
11.患者の寝衣・体位を整える。
あとは、たまに「膀胱留置カテーテルを挿入していて、尿が出なくて色々薬剤をしようしたら、実は尿漏れしていた」なんてことも起こります。
陰部洗浄の際は尿漏れ等もないか確認できるようにしましょう。
✔︎石鹸を用いた陰部洗浄は一日1回程度にするのがベスト(肌のバリア機能が失われ、皮膚トラブルの原因になります。)
✔︎長期臥床の患者は特に背部や臀部に皮膚トラブルや褥瘡を作りやすいため、念入りに観察する。
✔︎膀胱留置カテーテル挿入患者は尿漏れの有無も確認する
以上になりますが、少しでも参考になりますでしょうか??
患者や施設によって、方法等は変わるため上記の方法も、看護手技の1つとして認識していただければ幸いです。
エラー: コンタクトフォームが見つかりません。