看護師として働く上で病院選びは最も大切と言っても過言ではないかと思います。
出産や進学を理由に退職する方も多いですが、精神的・身体的に限界を迎えて退職する看護師も後を絶ちません。
毎年看護師は増え続けていますが、超高齢化が進む現代において、看護師不足はいまだに解消されてはいません。
1人ひとりの看護師の存在が今の社会には必要不可欠です。
そんな1人ひとりの看護師さんが、選んだ職場で満足して働けるように、今回は
「病院を選ぶ際の看護師の求人情報の見方」
について解説します。
自分に合った最高の病院を見つけて、身体的にも精神的にも社会的にも満足のいく毎日を送って頂きたいと思います。
転職の際、何を重視するかを決める
まず始めに、転職をしようと考えた時に、転職の際に何を重要視するかを明確にしましょう。
一番のNGパターンは
「とりあえず求人情報を見て、記載されている情報を見てからその職場の良し悪しや具体的な自分の希望を考えること」
です。
なんとなく情報を見て、記載されている情報の良し悪しだけを見ていてはいつまで経っても希望に沿う病院には出会えません。
なぜとりあえず求人情報を見ると言うのが良くないかと言うと、
「情報に惑わされるから」
です。
まずは自分が
「これは譲れない!」
「これが自分にとっては重要だ!」
と言う条件を決めることが大切です。
あれもいい、これもいいと良い情報に目移りしていると結局自分が求めているものとは程遠い病院を選んでしまうことになりかねないということです。
人それぞれ重要視する部分は違います。
例えば、
✔︎給料が良い
✔︎人間関係が良く風通しが良い
✔︎自分に合った勤務形態がある
✔︎福利厚生がしっかりしている
✔︎教育がしっかりしておりスキルアップもできる
などです。
求人を見て、職場を探す前にまず自分が譲れないものを明確にしておくことで、どんな情報を見ても本当に自分が求めている条件があやふやになってしまうことがなくなります。
何を重要視するかを事前に必ず決めておこう
求人情報を得る
求人情報を得るため、近年ならおそらくスマートフォンやパソコンでネットを利用することが多いかと思います。
すでに働きたい場所に目星がついている方は、その職場のホームページから求人情報を得る方もいるでしょう。
気になる施設で友人が働いているなどあれば、実際に現場の雰囲気を知っている人に聞くのが一番ベストです。
人材紹介会社で探す
看護roo!やナースフルのような大手の民間人材紹介会社が求人紹介するサイトを利用する方法です。
これらの会社は病院や施設と連携しており、全国各地の様々な条件の求人情報を持っています。
なので、豊富な求人情報の中から、自分の希望に合った施設を紹介してくれます。
転職に必要な知識を教えてくれたり、入職先と条件の交渉をしてくれるなど、無料で転職に関するフォローをしてもらえることも特徴です。
転職サイトの担当者は実際に病院と連携している上に、過去にその会社を利用して転職した顧客との情報などから、病院の内情に詳しいことも多いです。
なので、担当者との相性がよければ自分にあった情報などが比較的容易にかつ大量に手に入れることもできます。
ただ、あくまで自分の目で見た情報ではないので、得られた情報の全てを鵜呑みにせず、参考程度にするのが良いかと思います。
その転職サイトの担当者も病院や施設と連携しているものの、実際に働いていたわけではなく、人づての情報を教えてくれていると言うことを忘れないようにしましょう。
またウェブサイトで登録せずに求人を見ることもできるサイトもありますが、その会社で扱っている求人のすべてが公開されているわけではなく、登録してから見れる情報がほとんどだという点には注意が必要です。
採用人数が少ない求人や、人気の求人は、当然応募が始まるとすぐに埋まってしまうため詳細な情報は転職サイトに登録してからじゃない得られない場合があります。
より詳しい情報が必要な場合はサイトに登録しましょう。
1.転職サイトには全国各地、様々な条件の求人がある
2.内部情報にも詳しい場合が多い
3.最後まで無料で使える
4.面接練習や入職先の条件交渉もしてもらえる転職サイトもある
1.転職サイトの担当者の情報は参考程度にするのがベスト!
2.全ての病院の求人があるわけではない
3.登録しないと人気求人は見れないことが多い
各都道府県の看護協会で探す
各都道府県の看護協会にはナースセンターと呼ばれるものがあります。
そこに登録をすると、全国の求人に関する情報の閲覧ができ、紹介してもらうことも可能です。
転職相談の場としても利用できますが、情報の充実度はそれぞれ異なります。
ただ転職をする際の情報収集としては真っ当なやり方なので、他の情報と合わせて使うと有効に活用できます。
都道府県看護協会のナースセンターは情報収集の1つとして利用するのがオススメ
ハローワークで探す
ハローワークでも求人を探すことができます。
ハローワークとは公共の求人紹介機関で、病院・企業などを含む求人も紹介しています。
立派な求人機関ですし、パートで働きたかったり、国営施設などで働きたい場合などにも強いのが特徴です。
ハローワークの場所によって営業時間はまちまちなので利用する前に確認しましょう。
病院・企業などのウェブサイトで探す
病院・企業などのWebサイトに、求人情報が掲載されていることがあります。
気になっている病院・企業があらかじめわかっているなら、Webサイトから求人情報を得ることができます。
病院・企業のWebサイトの求人は、試験の内容等も詳しく記載されていることも多いので、必ず確認しましょう。
ただし、Webサイトと頻回に更新している病院などはそこまで多くないので、古い情報を最新の情報だと勘違いしないように確認することが必要です。
気になる場合は問い合わせて見るのが良いかと思います。
記載情報が古いものでないか確認しよう
友人・知人からの紹介、口コミで探す
友人・知人などからの紹介や口コミで求人を知る方法もあります。
私の病院でもそうですが、噂と実際は以外と異なることが多いです。
信頼できる方の情報であっても、それが実際の現場の事か、それとも噂なのかは確認した方がよりよいかと思います。
また噂がどうであれ、自分がその環境にマッチするかどうかは実際に働いてみないとわからないのも事実です。
いい噂だったのに、実際は微妙だったとか、悪い噂だったけど意外と働きやすいなど、人によって状況は変わります。
病院説明会に参加する
新卒の看護師の病院探しにオススメなのが、病院説明会です。
病院説明会では大きな都市で全国各地の病院の看護部長やその病院の現役スタッフが集まり、各々のブースを設けて病院の説明を聞くことができます。
ここでは臨床現場で実際に働いている看護師の声が聞けたり、募集要項の不明点やさらに掘り下げたい内容などを病院関係者に直接聞くことができます。
現場のスタッフは上司がいたりするので嫌な部分などの話を聞くことが難しいかもしれませんが、病院の勤務形態や給料、教育の実際などは比較的嘘偽りなく情報として得ることができます。
有益な情報を得ることもできますし、実際に働いている人を見ることができるので、ぜひ活用しましょう。
その病院で働くスタッフの雰囲気を知れるのはなかなか有益ですよ。
求人情報の見方を知る
求人情報に記載されている内容を深く理解することは非常に重要です。
就職は人生に関わることなので、求人情報の見方をしっかりと理解して、より良い就職、転職ができる様にしましょう。
給料
給与欄には、「月給○万円」という表記がされていることが多いですが、月給は基本的に「基本給」+「各種手当」で成り立っています。
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また基本給の金額を把握しておくことは重要です。
これは賞与(ボーナス)に関連するからです。
一般的に賞与は「基本給×○ヶ月分」で算出されます。
例えば、月給35万円だとしても、内訳が「基本給」が25万円、「各種手当合計」が10万円という形だったりします。
その場合、賞与が基本給の5ヶ月分だとすると、賞与の支給額は25万円×5=125万円となるんです。
35万円×5=175万円ではないことに注意してください。
また、賞与は必ず支給されるものとは限りません。
求人情報に“賞与”という記載がない場合は、賞与の支給はない可能性を考えましょう。
給与が高い病院は、休みが実は少し少なかったり労働時間が長い、またはハードワークであったり看護師の離職率が高いというケースもあるので、注意が必要です。
1.基本給は賞与(ボーナス)に影響する
2.賞与のない病院も存在する
3.給料が平均的に高いor低い場合は労働環境、時間、形態が他と違う場合がある
休日
休日の把握は必須です。
休日の見方にもポイントがあります。
完全週休2日制と週休2日制
この違いは、
「完全週休2日制」は毎週必ず2日のお休みがあることを指します。
一方、
「週休2日制」は、週に2回のお休みがある週が、1ヶ月に1回以上あることを指します。
これは大きな違いです。
勤務形態 | |
---|---|
4週6休制 | 4週間のうち6日休みがある |
4週8休制 | 4週間のうち8日休みがある |
4週10休制 | 4週間のうち10日休みがある |
週休2日制 | 隔週で2日休みの週と1日休みの週がある |
完全週休2日制 | 毎週土曜と日曜が休み |
実際にシフト制で働く看護師は、1週間に3日休むこともあれば1日しか休みがないこともあります。
「先月休みが消化できなかったから今月は規定以上の休みがついた」など毎月決まった通りの休みがもらえることは少ないかもしれません。
特に給与が高い病院の場合は出勤日数が多いことがあります。
福利厚生
福利厚生には2種類あります。
法定と法定外の福利厚生です。
「法定福利厚生」は、文字通り法律に基づいて実施されるもので、基本的にどの医療機関にも適応されます。
一方「法定外福利厚生」は、その医療機関が任意で実施するものです。
法定福利厚生には健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険などが挙げられます。
法定外福利厚生には次のような項目があげられます。
有給休暇
長期休暇
慶弔見舞い、慶弔休暇
新たな資格取得に対する補助
寮制度
託児所・保育所
産前産後休暇、育児休業制度
短時間勤務
育児時間の取得
食事代の補助
社員食堂
医療機関が運営する施設利用に対する割引
医療費給付
一例ですが、上記のような福利厚生があります。
看護師は女性が多いため、産前・産後休暇や育児休暇の取得率が高いのが特徴です。
一方で、職場によっては、休暇を取得しづらい現状もあり、有給消化率は全国的に低い傾向にあります。
看護師寮については福利厚生として持っている医療機関がかなり多いです。
寮は一般的に2〜5万程度の費用で入れることが多く、実家を出て勤務する場合、格安で住居を確保できるため、貯蓄へ回せる額も大きくなるメリットがあります。
ただし、寮に入れる期間が設けられている病院も多いので、事前に確認が必要となります。
また、看護師としてキャリアを積みたい、という方は、資格取得の費用を一部負担、あるいは受験料を補助してもらえるか福利厚生があるかどうかも重要となります。
例えば、BLS,ACLS,PAL,認定看護師,呼吸療法認定士などです。
まだまだお伝えしたいことがありますので、part2に続きます。