集中治療室は看護師が働く部署でも花形と言われます。
集中治療室はたくさんの知識と経験が必要ではありますが、そんな中、新卒の看護師も配属されたりします。
新卒で集中治療室に配属された看護師には中途や病院内から移動してきた看護師よりもはるかにたくさんの困難が待ち構えています。
新卒の看護師で集中治療室に配属されたが順応できない理由について説明します。
前置き:集中治療室にはそもそも新卒が配属されにくい
病院によっては新人看護師を集中治療室に配属しないところがあります。
理由としては3点ほど考えられます。
1.新人看護師が辞めてしまうリスク
2.人気すぎる
3.安全面への懸念
では1つずつみてみましょう。
新人が辞めてしまうリスク
新人看護師には、集中治療室での負荷が強く適応できないことが多く、手塩をかけて育てた新人が辞めることに抵抗がある
というのが大きな理由です。
病棟で働く新人看護師が自立するのは平均で3ヶ月~5月前後でしょうか。
先輩のフォローも受けつつも独りで働けるようになる期間として大体3ヶ月ぐらいかかると思います。
しかし集中治療室の新人看護師は半年から1年ぐらいかけて独り立ちをさせます。
単純に覚えることが多いですし、1つのミスが患者に与える影響が大きいことがあるからです。
新人看護師を時間をかけて育てたけど、結局夏や冬場に辞めてしまった、、、
となると教える先輩看護師の労力も無駄になってしまいますし、病院にとってあまり好ましくないので、新人看護師は集中治療室では雇わないというところもあるそうです。
人気すぎる
集中治療室が人気すぎて順番待ちしているということです。
特に有名な病院で起こりやすいことですが、集中治療室が人気すぎて、人が飽和しすぎているので、誰かが辞めるまで順番待ちするといった感じです。
希望を出しても一般病棟や他病棟に配属されて、毎年移動の希望は出すけれどなかなか順番待ちが解消されず2-3年してからようやく集中治療室に配属される。
というケースが多いようです。
順番待ちの理由も様々で、
病院が有名で、その業界の著名人がいて、辞める人は多いけど募集者も圧倒的に多い
あまりにも働きやすい環境のため、内部で働いている人がなかなか辞めないためにポストが空かない
などがあります。
安全面への懸念
新卒が配属されることで安全面への懸念があります。
マンパワーの溢れるところであれば良いですが、人手の少ないところではみっちり新人にくっついて教育することが難しいこともあります。
重症患者が多くいる集中治療室では少しのミスが命取りのなりかねないので、安全面も考えて新卒の配属を避ける傾向もあるようです。
集中治療室に順応できない新卒看護師の5つの特徴
希望通り集中治療室に配属された新人看護師はうまく現場に順応していけるのか否か。
答えは曖昧ですが、
「人に寄る」です。
ちなみに経験的に8割以上の新人看護師は無事に2年目.3年目とステップアップしています。
私もその1人です。
しかし順応できずに辞めていく人もいます。
1.そもそも希望の部署ではなかった
やはりモチベーションは新人看護師の「命」です。
希望されていない部署でたくさんの負荷をかけられると、多くの方は心が折れてしまいます。
希望していないのに集中治療室に配属されるのは
面接時にざっくりとした部署の希望しか出していなかった
人手が足りない
類似した部署に希望を出していた
等の理由が考えれます。
最低限、希望の部署は明確に伝えられるようにしましょう。
2.真面目すぎて負荷に耐えられなかった
経験上、ものすごく真面目で休むことよりも勉強することを優先するようなタイプの人は途中で辞めてしまう傾向にあると感じました。
集中治療室1年目は本当に勉強することがたくさんありますが、実際は半年や1年かけて成長していくもので一長一短ではありません。
私は身体や心は資本だと考えていて、新人にはしっかり休むことも仕事の一つと捉えています。
特に1年目看護師は、
新しい職場のストレス
新しい人間関係のストレス
新しいことをたくさん覚えなければならないストレス
重症患者をみるストレス
一部の人は1人暮らしを始めるストレス
など、ものすごいストレスにまみれます。
勉強しないといけないのは確かなのですが、こんな負荷の中、毎日休むことも知らずに勉強し続けると、心も体も持たなくなってしまいます。
なので自分の趣味や自分の時間をしっかり持てる人がうまくやっていけます。
3.目立ちすぎる
私は学生時代から早く社会人になって働きたいという思いが人一倍強い人でした。
実際に社会人になったらそれはそれは毎日元気に働きましたが、如何せん目立ちすぎました。
私がミスもなくバリバリ仕事のできる人であれば何の問題もありませんでしたが、決してそんなこともなく、何をしても目立つために怖い先輩にもターゲットにされてそれはそれは悲惨な新人生活を送りました。
私のような経験をする人は2度といないようにしたいと思うくらいです。
要は、目立ちすぎるとミスやあいまいな知識を他の人以上に付け込まれたりします。
この状態が続くことで、周囲の先輩から必要以上に怒られたり、目をつけられる可能性があります。
4.プライドが高い
プライドが高い人はあまり集中治療室にむいていないかもしれません。
集中治療室1年目は本当にたくさんのミスやわからないことが出てきます。
もちろん、先輩看護師に、わからないことやミスを指摘されることもかなり多いです。
この時にプライドが邪魔して素直に指摘を受け入れられなかったりすると、人としても集中治療室の看護師としても成長しません。
新人看護師は
「誠実であるべき」
です。
指摘されたり怒られることを素直に受け入れることができない人が、知らず知らずのうちに負の感情を溜め込んでしまい、辞めてしまう傾向にあります。
5.重症患者や死に触れることに抵抗がある
集中治療室では重症患者や患者の死に触れることはほぼ必須です。
ある程度はみんな乗り越えていきますが、それでも耐え切れない人も中にはいます。
患者の死から学ぶこと、家族への関わり、集中治療室では多くの経験をすることになります。
時にはとても悲しい思いをし、メンタルにくることもあります。
これも集中治療室で乗り越える課題の1つになります。
頭が悪いは離職に関係ない
一つ伝えたいことがあるのですが、私の経験上、頭が悪すぎて辞めたという話は聞いたことがありません。
私も地頭は相当悪いと自負していますが、先輩方の集中砲火を受けながらも今は後輩を指導する立場になっています。
頭が悪いから集中治療室には向かないという考えは間違っていると私は断言します。
国家試験を合格し看護師の免許を取得できる方であれば大丈夫です。
以上になりますが、集中治療室を辞めてしまう特徴を理解して、継続して集中治療室で働ける人が増えてくれれば良いなと思っています。